さびにっき

錆つかないように、日々の記録

数年で時代は変わる:就活のはなし

 
 
こんな記事が。
私自身、4月から社会人4年生になり、同時に、3社目の企業に入社する。
つまり、リーマンショック就職氷河期世代で、最近まで転職活動していたどんぴしゃりな人間なのだ。
実際記事のように、1年違いの後輩でさえ、部署の募集人数を尋ねると自分の時と倍くらい違った。
 
また条件を付け加えると、某大学工学系の院を修了した所謂リケジョでもある。
そんな観点で昨今の就活、転職について経験から思ったことをつらつらと。
 
 

理系求人への学卒の壁

大学3年の就活は2008年の秋スタートだった。
リーマンショックという言葉はニュースで聞いていたけれど、景気の実感としてはなかった。
ただ、工学系の専門職の求人は学卒相手にはほとんどなくて、求人数は少なく感じた。
公に院卒を募集していた訳ではないけれど、大学3年ではまだ研究室に所属しておらず、実質ES選考の土俵に上がれないでいた。
また、専門職の場合、リクルーターは研究室を通じて声を掛けてくるので、大学3年には求人が行き届かない。
学卒で専門知識を生かせる就職した友人は公務員か現場の肉体労働がほとんど。
当時の私は大手でもう少し違うことがやりたくて、院に進学することにした。
 
 

女は採用しない宣言

院での就活スタートは2010年秋。
この頃には大分不景気が煽られていて、一つ上の代の先輩達も就活で苦戦しているように見えた。
中でも、数少ない女性で、学内でも指折りの秀才で男勝りな性格の先輩が苦戦していたので、自分のような平凡な女子学生が就職できるのか戦々恐々だった。
(結局その先輩は、リタイアしたお父様が働いていた大手企業に入社した。)
 
自分の就活が始まると、説明会で同期の女子が質問するのは「女性の活躍」についてが定番だった。
その意図としては女性の数や制度、環境を探ることにある。
そんな話の中で、リクルーターに言われた衝撃の言葉がある。
「女性と男性で少しの能力差なら男性を採ります」
「前年に女性を1人採用しちゃったから今年は採らない方針」
こういった言葉はネットなどではよく言われていて、企業の本音なのかもしれないが、現実を実感した瞬間だった。
努力以前の問題なのでは…と凹んだ。
その企業以外にも、面接では結婚したらどうするか、子供ができたらどうするか必ず尋ねられた。
こういった企業は産休育休を取り辛く、辞めていく女性が多いのだと思う。
 
結局蓋を開けてみれば同期の女子で大手に入社したのは数えるほどしかいない。
しかもその内、私の知る限り数人は教授のコネでの入社だ。(ただし、これは男女関係なくあった。)
私のような平凡な女子学生は、専門職にこだわったら中小企業しか残されていなかった。
 
 

ブラック企業に丸め込まれ

そんなこんなで、大手でやりたい仕事に就くことを目指して院進学したはずの私は、現実に向き合うことにした。
専門職なのだから、この会社を踏み台にして転職しようと思って残っていた中小企業に入社した。
しかし、そんな考えで働き始めて長く続くはずもなく、入社3ヶ月を過ぎる頃には既に辞める気満々だった。
某リ⚪︎ナビに登録した直後に、とある企業からスカウトメールが来た。
普通、スカウトメールというのは機械的に送られてくるものなのだが、その企業はどうやら個別に文面を考えて送ってきているようだった。
しかも無視してもしつこい…こんなに熱心なのだから面接だけでも受けるか、と思って会いに行った。
そこでの仕事内容はニッチで、でも私の専攻分野そのものだったので、新卒半年の私でも即戦力で働けるものだった。
しかも給料が高く、1年目からこんなに貰えて、私をこんなに必要としてくれているなんて…!と、就活ですっかり自信をなくしていた私はあっさり転職を決めた。
 
そして、2年半が経ち今に至るわけだが、、、
そこは、誰しも思うようなブラック企業だった。
何がブラックか、ここでは長くなるので省略して、別の機会に記したい。
いわゆる「労基に訴えてやる!」系の話もあるが、あらゆる法律に関して限りなく黒に近い。
私の知識が足りないのと、証拠がないので関係機関に密告はできなかったが、自分の中の正義感がもう限界なので今回の転職に至った。
 
(ちなみに、新卒入社した会社は今思えばマトモだったが、私も含めて同期の半分は一年以内に辞めている…)
 
 

新卒から3年を経て

2012年に新卒入社して気付いたのは、同業同職種の同期に学卒が結構いたこと。
自分の時はほとんどいなかったけれど、単に自分の代が悪かったのか、若い人材を採ろうという風潮になったのかわからない。
でも要因の一つは、昨今の就活時期後ろ倒しのおかげで、理系学卒でもリクルーターから声をかけられる機会が増えたからではないかと思う。
最近会った研究室の後輩でも、珍しく学部での就活生が何人かいた。
後ろ倒しを懸念する声は就活生からも、リクルーターからもあるようだけど、学卒でも院卒でも、入社後に教育しなけれはならないのは同じなのだから、正直自分のように無駄な高学歴が増えるより、理系学卒に就活のチャンスを与えた方が有益だと思う。
ただ、卒論時期と重なってしまう可能性があるのは大変だから、逆に、卒論を前倒しできたらどうでしょう。
院試は就活の後に受けられるようにして、卒論半年くらい前倒しならどうにかならないかな?
若人の人生なので、あまり実験的なことはできないかなぁとは思いますが…
 
 
そして、2014年末から転職活動を始めて、思ったこと。
アベノミクス、ウーマノミクスで大分女性に対する風当たりが減ってる!
まず、団塊世代もいなくなりつつあり、景気が良くなって、求人数が増えているように感じた。
ただし、これは私が選択肢を増やしたからかもしれない。
でも確実に言えるのは、女性が辞めないように産休育休制度を使って欲しい、という企業側の意識を感じたこと。
新卒では前述の通りで、制度がある事を前面に出さない企業ばかりを見てきた。
でもこの転職活動では、女性への待遇を尋ねると訊いていないことまで説明してくれるし、管理職を目指してもらいたいとまで言ってくれた。
何より、私は三十路手前の既婚者なのに、出産したらどうするかなんて全く尋ねられなかった。
ウーマノミクスについては、逆差別だなんて声も聞くけれど、そもそも電車に乗る権利を持たなかった女性達へ、乗っても乗らなくても良い切符を配ってるようなものなのだと思う。
 
 
最後にブラック企業について。
3年間社会人をやってきたけれど、入社時にブラック企業を避けるのはものすごく難しい。
何十年も企業戦士やってきたおじさん達が、こんな会社が存在するなんて信じられない、との捨て台詞付きで入ってすぐに辞めていった。
面接も、会社見学も、いくらでも取り繕えるものなのだ。
自分を守るには、法律の知識と、いつでも辞められるようにしておくことが大事だと思う。
そしてやはり中小よりも、大手の方がコンプライアンスを大事にするのでハズレる可能性が少ないと思う。
 
 

おわりに

就活も転職も、しばらく暗い話題が多かったけど、明るい話題が出てきたのかな、と思う。
3年前はこんなに情勢が変わるとは思わなかった。
きっともう少ししたら雇用ももっと流動的になって、転職者に対する風当たりもなくなったり、今思いつかないような考えが主流になったりしてるかもしれない。
 
山あれば谷あると思って、私も頑張りたいと思います。